寅の名前の植物は「虎の尾」「虎耳草(こじそう)」があります。
「トラノオ」は6月頃、白い小さな花が縦に沢山ついた虎の尻尾の様な花で、秋に紅葉した葉も名残の花に使います。
「虎耳草」は「ユキノシタ」の別名です。
虎の耳の様に丸い葉だからとも、葉の表面がけば立って虎の毛の様な手触りだからとも言われます。
花弁が白の物が多く芯が濃いピンクのぶちになった種類もあり、繊細で美しい花です。
1、辛夷;こぶし。蝶か鳥が舞うように一斉に辛夷が咲くと、春の幕開けです。
似た花に「白蓮」がありますが、早春に咲く「辛夷」の方が花が小さく、あちこち向いて咲きます。
白い「木蓮」を「白蓮」と言います。花がいっせいに上を向いて咲くため、中がみえません。
2、杏;あんず。梅の花に似た形で、薄桃色。
3山茱萸;さんしゅゆ。春の花は、2月の「万作」、「連翹」(れんぎょう)、「黒文字」、「油瀝青」(アブラチャン)、8、の水木類など黄色の花が多くみられる。
1、素心ロウバイ;園芸種で黄色一色。 1月掲載 の「ロウバイ」は花弁の芯が赤紫。他に「満月ロウバイ」がある。
春の花は、連翹(れんぎょう)、山茱萸(さんしゅゆ)、万作など、黄色から始まる。
2、寒芍薬;別名八つ手花笠。洋種のクリスマスローズの名を、「寒芍薬」「八つ手花笠」など、茶花の時は和名に呼び変えて使用。
3,福寿草;2月末頃に茎の横にある葉が出てきて、陽の光を浴びる様子は、赤ちゃんが手を広げたようで可愛い。
根洗いにして亀の尾に見立てて、水盤にいけたお正月の「文人いけ」、見立てて使ったあと、地植えにしたもの。
1、ロウバイ;臘月に咲く梅(の形の花の意味)。厳密には梅の種類ではない。中国原産。
臘梅と書くが、蝋梅と書かれる事もある。臘月とは中国の古い暦で12月の呼び方。
半透明の花弁で良い香りがする。大巧寺にて撮影。
下向きに咲き、芯が赤紫色。
全部黄色の素心臘梅(ソシンロウバイ)や、中に赤い縁取りが有る、満月蝋梅もある。
2、梅;「歳寒(さいかん)の三友」とは、松、竹、梅。又は梅、水仙、竹を言う。
梅と水仙は、梅を兄、水仙を弟に例えられることがある。円覚寺にほころんでいた。
3、水仙;12月に稲村ケ崎で満開になった水仙を掲載したが(「鎌倉花便り」12月)、寒さの中で可憐に咲く姿に惹かれ、もう1度掲載。
雪の中でも咲くから別名「雪中花」。
沢山蕾をつける為、子沢山に因んで昔は結婚式に、又花の名に水の字を含む事から、火事よけに新築祝いにも飾られたという。
出初めは花より葉を高く、季節が進み春には花を葉より高くする事や袴の扱い等、出生に合わせた決まりがある。
4、クマザサ
パーン!夜中に音が!
何かが飛んだ?ガラス窓にあたった音??
辺りを見回すと、採り置いた藤豆から種がはじけたらしい。鞘の中は空っぽ!
鞘を「うーん」とねじった勢いで、種が飛ぶ事を知りました。
五粒のエンドウ豆が、旅に出る話を読んだことがあります。エンドウ豆も鞘をねじってから、はじけたのでしょうか?
種を戻して横に並べたら、モダンな帯模様になりました。
1、キササゲ;マメ科。キササゲは師走が似合う。修行僧がかしこまっているようにみえる。扇が谷にて。
2、枇杷(びわ);渋い格調ある花は良い香りがする。茶花には香りの強い花や食物の花は使わないが、枇杷の花は使われる事がある。
3、紅葉;今年はひときわあざやか、10日ごろ撮影。
4、木瓜(ぼけ);とげがあり昔は茶花には使わない。梅や松と違い、お正月には2日以降にいけたと言われる。
<8月の花便り>②の木瓜の実は、10月果実酒やジャムに。
花より団子ばかりではなく、いけばなでは実つきの木瓜の枝に竜胆やトリカブトの花を合わせたり、菊を合わせたり…。
実は盛り物にも重宝する。
夏の宵、白いレースのような幻想的な花をさかせた<からすうりの花>いつの間にか裏山にぶらーり。
<南方録>に「利休禁花」が有ります。
「花入れに入れざる花は沈丁花(じんちょうげ)、深山しきみに、鶏頭(けいとう)の花、女郎花(おみなえし)、柘榴(ざくろ)、河骨(こうほね)、金盞花、せんれい花を嫌い事すれ」
香りの強い花(茶席は香を焚くので)毒々しい花、名前の悪い花等はさけます。利休は「これ初心者の為なり」とも言っています。
一般に実は使いませんが、花の様にきれいな紫式部や真弓、美男蔓、烏瓜等はその限りではありません。
又、山茶花は茶席に使いませんが、席の由来や正客との由来があればその限りではなく、全て茶の心にかなうよう、臨機応変との事と思われます。
夜半、虫の音を聞くこの頃です。日中は蝉しぐれがうるさいくらいですが、残暑厳しい中にも、季節は移ろっていくのを感じました。
<鎌倉花便り>8月②の写真は18時頃撮影。
この写真は19時半頃撮影したので、闇にレースがきれいに開き幻想的です。一日花。烏瓜の実<利休禁花>写真参照
<上段左~右>へ
1高砂百合
2秋海棠
<中段左~右>へ
3水引
4銀水引;白を銀水引と呼ぶ。
5金水引;水引や銀水引の仲間ではない。
<下段左~右>へ
6やぶ蘭;秋に藍色の実が出来る。
7源平釣舟草;外来種。本来は赤紫や黄色。
<上段左~右へ>
Ⅰ女郎花;秋の七草。
2ミソハギ;お盆に使用。
3やぶ茗荷;秋の黒い実も茶花に使用。
<中段左~右>
4鬼ユリ
5烏瓜の花;真夜中に咲く一日花。18時撮影。
6木瓜の実
<下段左~右>
7沢虎の尾
8じゅず珊瑚
9カンナ
<上段左~右へ>
1夕顔(夜顔);「源氏物語」の夕顔(茶花日記参照)と紛らわしいので最近は「夜顔」と呼ばれる。
2雁金草
3岩南天
<中段左~右へ>
4矢羽薄
5もじずり;「ネジバナ」万葉集や百人一首に詠まれる。
6宗旦槿;一日花
7アガパンサス
<下段左~右へ>
8萱草;別名忘れ草、茶花日記<萱草>参照
9シラサギカヤツリ
10大賀ハス
紫陽花も水揚げが悪い花の代表ですが、朝夕の涼しい時に切り、皮を剥いたり(写真下段右)、切り口を割った後、内側の白い部分を鋏の先で掻きだし(写真下段左)ます。
盛花でミョウバンを刷り込むこともあり,葉らも水分が蒸発しますので、余分な葉は取りさります。
睡蓮や蓮などはポンプで切り口から水を入れます。
<上段左~右へ>
1山紫陽花
2金糸梅
3山吹升麻
<下段左~右へ>
4令法(りょうぶ)
5山法子
6蛍袋
<下段左~右へ>
7京鹿の子;後の花は姫萱草.
8美女柳;びおうやなぎ・びょうやなぎ
9岩たばこ;葉が煙草の葉に似ている。
萱草は、別名「忘れ草」とも言い、悲しみを忘れる為身につけたことから、喪の襲(かさね)として、王朝人は萱草色の襲を身につけたと言われる。
萱草の仲間は、姫萱草が6月咲き始め、やぶ萱草、野萱草と続く。
新芽をお浸しにしたり、黄緑色の葉を早春の盛花の根締や、なげ入れに添えて重宝する。
緑の葉蔭も色濃くなり、世間の騒ぎをよそに花は次々と咲いていきます。
茶花は、一種二種ですが、風炉の季節は色々寄せて良い事になっており、草物が色々出てくる季節なので、自然に従ってと聞いております。
籠も、5月~10月迄使え、涼を添えます。
季節に合わせて、傘や蝉の形の籠など使うのも楽しみでございます。
風炉の季節を迎え「薫風自南来」心清らかな茶境を心がけたいと思います。
利休七則に「花は野にあるように」との言葉があり、昔から「花は足でいけよ」と申します。
自分で探せば、その植物の本来育っている姿がわかります。
植物の出生をよく見て、野に咲くあるがままの姿を映していきたいと心がけております。
と言いましても切ってきた其のままではなく、枯れた葉や余計な枝は整理し造形に走らず「無作為の作為」、奥の深いことでございます。
<上段左~右へ>
1草たちばな
2谷空木(たにうつぎ)
3卯の花(暮らしの茶花日記「卯の花」参照)
<中段左~右へ>
4紫蘭;普通は赤紫の蘭、秋に紅葉した葉も使う。
5芍薬;牡丹は木、芍薬は草。
<下段左~右へ>
6岩がさ。
7牡丹;茶花では蕾を使う。
8アマドコロ
卯の花が咲きだしました。
「卯の花の匂う垣根に…♪」と小学唱歌に歌われましたが、卯の花和え、卯の花腐し(うのはなくたし、卯の花が咲く頃降る長雨)、卯の花襲等、植物の名が使われる事が多いのは、日本には四季があり、植物が身近だったからなのでしょう。
『枕草子』の中に、時鳥(ほととぎす)の声を聞きに郊外に出掛けた清少納言達が、途中、民家の垣根の卯の花がきれいなので手折って、長い枝を牛車の屋根や脇などに挿したら、卯の花の垣根を牛が引いているようだった、と楽しそうな記述があります。
実朝も永福寺(ようふくじ)に、時鳥の鳴き声を聞きに、牛車で二度訪れたそうです。
前日、家来が下見に永福寺を訪れたと記述があり、大倉幕府と永福寺は徒歩20分弱、気軽にいけず、お気の毒と思いました。
<上段左から右>へ
1白い丸い花弁に見える苞はイチリンソウ
2とがった花弁はイカリソウ。
<中段左から右へ>
3山芍薬
4ムサシアブミ;その名から男の子の節句の頃の茶会に使われることが多い。
5浦島草。苞の中から釣り糸のような糸状の物が伸び、浦島太郎の釣り姿に見立てて名付けられた。
<下段左から右>へ
6オオアラセイトウ;別名花大根、紫花菜。
7海棠;中国原産うつむきがちの花は美女の涙にたとえられる
少し前ですが、連休明けに熊谷草自生地に行きました。
山中湖近く西桂町の山を10分程登ると自生地に。
鹿や人間から守るためにフェンスで囲ってあり、連休に熊谷草祭りを毎年するそうです。
紫の藤は、20年以上前に建長寺で根洗いでいけた花。
下からの枝も伸ばして、二段で楽しんでいます。
白藤は30年位前に、入学式でこちらも根洗いでいけた花。
牡丹は7年位前に、円覚寺で松といけた花。
エビネも増え、太公望の浦島草が、ユーモラスに釣り糸を垂れ、春を謳歌しています。
春の足音が聞こえる居いこの頃です。
寒さの中におずおずと顔を出していた福寿草、しっかり大きくなって生命を謳歌している。
数年前、お正月に亀の尾に見立てて、根付で使った<文人いけ>の福寿草、春が来るたびに心が躍る。
夜のしじまにホトトギスが鳴く。クチナシの甘い香りが梅雨空に漂う。
卯の花が咲き、ホトトギスが鳴き始めると、初夏を感じる。
秋に出来る細長い赤い実は干して、お正月のきんとん等の黄色をはっきりさせる時に入れる。
鎌倉十二所果樹園の道端にヘビ苺発見。
木苺、野苺は甘酸っぱくおいしい。ヘビ苺は味がないが愛らしい。
冬に実がなる<冬苺>も、以前鎌倉建長寺奥の回春院で、公益財団法人鎌倉風致保存会の方々に「冬苺があるよ」と教えて頂いた。
枯草の陰につるのように地表を這った丸っこい葉、赤くつやつやした冬苺。冬に苺?山の草花は奥が深い。
ホームへ
暮しの茶花日記作品
暮しの茶花日記その他
暮しの茶花日記履歴
このホームページの写真や文章は<花雅流®(はなみやびりゅう)>に帰属しますので、無断掲載はご遠慮ください。